CSS ボックス配置の概要

この仕様では、特定のレイアウト方式内で実装されていないこれらの配置プロパティについて議論しやすくするために、いくつかの配置用語を詳しく説明しています。また、すべてのレイアウト方式に共通する重要な概念もいくつかあります。

配置は書字方向と関連しており、アイテムを配置するときには上、右、下、左という物理的な軸に配置することを意識しません。その代わりに、特定の軸の先頭方向と末尾方向で配置を表現します。こうすることで、文書の書字方向がどのようになっていようと、配置が同じように機能するようになります。

ボックスの配置プロパティを使用すると、インライン軸（または主軸）とブロック軸（または交差軸）の 2 つの軸のいずれかにコンテンツを配置します。インライン軸は、使用されている書字方向で文中の単語が流れる軸です。例えば英語の場合、インライン軸は水平方向です。ブロック軸は、段落要素などのブロックがレイアウトされる軸で、インライン軸を横切ります。

インライン軸でアイテムを整列させる場合は、 justify- で始まるプロパティを使用します。

• justify-items
• justify-self
• justify-content

ブロック軸上のアイテムを整列させるときは、 align- で始まるプロパティを使用します。

• align-items
• align-self
• align-content

フレックスボックスでは、 flex-direction が row に設定されているときに上記が成り立つという複雑さが加わります。フレックスボックスが column に設定されている場合は、プロパティが入れ替わります。したがって、フレックスボックスで作業するときは、インラインとブロックではなく、主軸と交差軸について考える方が簡単です。 justify- プロパティは常に主軸の配置に使用され、 align- プロパティは交差軸の配置に使用されます。

配置対象物 (Alignment subject) は、配置されるものです。 justify-self や align-self の場合、または justify-items や align-items でこれらの値をグループとして設定する場合、このプロパティが使用されている要素のマージンボックスとなります。 justify-content と align-content プロパティは、レイアウト方式ごとに異なります。

配置コンテナー (Alignment container) とは、対象が配置されるボックスです。通常、これは配置対象物の包含ブロックとなります。配置コンテナーには、 1 つ以上の配置対象物が含まれます。

次の画像は、 2 つの配置対象物が配置された配置コンテナーを示しています。

仕様書では、 3 種類の異なる配置について詳細に説明しています。これらはキーワード値を使用します。

• 位置揃え
• ベースライン揃え
• 分配配置

位置揃えとは、配置対象物の位置を配置コンテナーとの関係で表したものです。位置揃えキーワードの値は位置揃え用に定義されており、コンテンツの位置揃えの値としては justify-content および align-content があり、自分自身の一ぞれの値として justify-self および align-self もあります。

• center
• start
• end
• self-start
• self-end
• flex-start （フレックスボックスのみ）
• flex-end （フレックスボックスのみ）
• left
• right

画面の物理的な属性に関連する left および right の物理的な値以外の、その他のすべての値（<self-position> および <content-position> 値）は論理的な値であり、コンテンツの書式に関連します。

例えば、 CSS グリッドレイアウトで作業している場合、英語で書いていて justify-content を start に設定すると、アイテムがインライン方向の開始位置、すなわち左へ移動します。これは、英語の文章がページの左側から始まるためです。もし右書きの言語であるアラビア語を使用している場合、同じ値の start を指定すると、アラビア語では文章がページの右側から始まるため、アイテムは右へ移動することになります。

どちらにも justify-content: start が指定されていますが、 2 つの開始位置は書字方向が異なるため異なります。

ベースライン揃えとは、配置コンテキスト内の複数の配置対象物のベースラインを揃えます。ベースライン揃えの <baseline-position> キーワードは、配置対象物のグループ内のボックスのベースラインを配置するために使用します。これらのキーワードは、 justify-content および align-content を使用したコンテンツ配置、および justify-self および align-self を使用した自己配置の値として使用することができます。

• baseline
• first baseline
• last baseline

ベースラインのコンテンツの位置揃えは、これは justify-content または align-content でベースライン配置を指定することですが、アイテムを列で配置するレイアウト方式で動作します。配置対象物は、ボックス内にパディングを追加することで、互いにベースラインが揃えられます。

ベースラインの自己配置では、ボックスの外側にマージンを追加すると、ベースラインに沿ってボックスを配置します。自己配置は、単一のボックスに対しては justify-self または align-self を使用して、ボックスのグループに対しては justify-items および align-items を使用して行われます。

分配配置は、配置対象物の間に余白を分配する配置を定義します。分配配置の <content-distribution> キーワードは、 align-content および justify-content プロパティで使用されます。これらのキーワードは、配置対象物が表示された後に続くスペースに何が起こるかを定義します。値は次のとおりです。

• stretch
• space-between
• space-around
• space-evenly

例えば、フレックスレイアウトでは、アイテムは flex-start で初期配置されます。英語などの言語で、上から下への横書きモードで作業する場合、 flex-direction を row に設定すると、アイテムは左端から開始され、アイテムを表示した後に利用できる空間はアイテムの後に配置されます。

フレックスコンテナー内で justify-content: space-between を設定すると、これで利用できるスペースが分配され、アイテム間に配置されます。

これらのキーワードの効果を発揮するには、アイテムを配置したい方向に向かって余白が必要になります。余白がなければ、分配するものもありません。

次の例では、グリッドとフレックスボックスでボックス配置プロパティがどのように適用されるかを示します。

CSS グリッドレイアウト配置の例

例えば、グリッドレイアウトでは、インライン軸（主軸）上に修正されたトラックをレイアウトした後、グリッドコンテナー内に余白が残ります。この余白は、 justify-content を使用して配分されます。ブロック軸（交差軸）上では、アイテムのグリッド領域内の配置は、 align-items で制御されます。最初のアイテムは、 align-self を center に設定することで、グループに設定された align-items の値を上書きします。

<div class="box">
  <div>One</div>
  <div>Two</div>
  <div>Three <br />has <br />extra <br />text</div>
  <div>Four</div>
  <div>Five</div>
  <div>Six</div>
</div>

body {
  font: 1.2em sans-serif;
}

.box {
  border: 2px dotted rgb(96 139 168);
}

.box > * {
  padding: 20px;
  border: 2px solid rgb(96 139 168);
  border-radius: 5px;
  background-color: rgb(96 139 168 / 0.2);
}

.box {
  display: grid;
  grid-template-columns: 120px 120px 120px;
  align-items: start;
  justify-content: space-between;
}

.box :first-child {
  align-self: center;
}

フレックスボックスの配置の例

この例では、 3 つのフレックスアイテムが、 justify-content を使用して主軸上に、 align-items を使用して交差軸上に配置されています。最初のアイテムは、 align-self を center に設定することで、グループに設定された align-items を上書きしています。

<div class="box">
  <div>One</div>
  <div>Two</div>
  <div>Three <br />has <br />extra <br />text</div>
</div>

body {
  font: 1.2em sans-serif;
}

.box {
  border: 2px dotted rgb(96 139 168);
}

.box > * {
  padding: 20px;
  border: 2px solid rgb(96 139 168);
  border-radius: 5px;
  background-color: rgb(96 139 168 / 0.2);
}

.box {
  display: flex;
  align-items: flex-start;
  justify-content: space-between;
}

.box :first-child {
  align-self: center;
}

<overflow-position> キーワードの safe および unsafe は、配置対象物が配置コンテナーよりも大きい場合の動作を定義する手助けとなります。 safe キーワードは、指定された配置によってオーバーフローが発生した場合に開始位置に配置されます。これは、アイテムの一部が配置コンテナーの境界外に出てしまい、スクロールできない「データ損失」を避けることを目的としています。

unsafe を指定すると、そのようなデータ損失が発生しても配置が優先されます。

ボックス配置の仕様書には、gap、row-gap、column-gap プロパティも記載されています。これらのプロパティにより、アイテムがこのように配置されている任意のレイアウト方式において、行または列のアイテム間に一貫したギャップを設定することができます。

gap プロパティは、 row-gap と column-gap の一括指定であり、これらのプロパティを一度に設定することができます。

• row-gap
• column-gap
• gap

次の例では、グリッドレイアウトで gap 一括指定を使用して、行トラック間に 10px のギャップを設定し、列トラック間に 2em のギャップを設定しています。

<div class="box">
  <div>One</div>
  <div>Two</div>
  <div>Three</div>
  <div>Four</div>
  <div>Five</div>
  <div>Six</div>
</div>

body {
  font: 1.2em sans-serif;
}

.box {
  border: 2px dotted rgb(96 139 168);
}

.box > * {
  padding: 20px;
  border: 2px solid rgb(96 139 168);
  border-radius: 5px;
  background-color: rgb(96 139 168 / 0.2);
}

.box {
  display: grid;
  grid-template-columns: 1fr 1fr 1fr;
  gap: 10px 2em;
}

.box :first-child {
  align-self: center;
}

初期のグリッドの実装では、 gap プロパティに grid- の接頭辞を付けていました。すべてのブラウザーが接頭辞のないプロパティに対応していますが、コードベースには次のプロパティが続くことがあります。 grid-row-gap、grid-column-gap、grid-gap。接頭辞付きのバージョンは、接頭辞のないバージョンの別名です。

視覚的なギャップは、例えば余白分配のキーワードを使用したり、アイテムにマージンを追加したりすることで、大きくなる可能性があることにご注意ください。

CSS のボックス配置プロパティは、操作する仕様によって異なる実装がなされるため、各レイアウトの種類における配置プロパティの使用方法の詳細については、次のガイドを参照してください。

• フレックスボックスでのボックス配置
• CSS グリッドレイアウトでのボックス配置
• 段組みレイアウトでのボックス配置
• ブロック、絶対位置指定、表レイアウトのボックス配置

• CSS 表示方法モジュール
• CSS フレックスレイアウトモジュール
• フレックスボックスの基本概念
• フレックスこてなーでのアイテム配置
• CSS グリッドレイアウト module
• グリッドレイアウトでのボックス配置